片目は開けて眠る

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熱海記①

熱海へ旅行にいった。

何故、熱海なのかは、「近い」「一泊でいい」「あんまガチャガチャしたとこへいきたくない」という、若干退き気味の理由からである。

新幹線や有料特急なんか使わずに、家から熱海駅まで2時間。愛猫カジカが家に来てから初めてのお泊り旅行である。(カジカは留守番)

 

~5人兄弟の家族~

平塚あたりだったろうか、5人兄弟の7人家族が乗ってきた。親は若そう。母親の目がずっと恍惚の状態なのが気になる。父親はのTシャツは汚れおり、一人で缶コーヒーを飲んでいる。あまり考える事をせずに、今まで来てしまったのだろうなと想像しながら眺めていたが、彼らはとても幸せそうに見えた。私も考え無しと言われればそうだろうが、人にどう見られるかとか、ステイタスであるとか、そういった事に苦心していた時機もあったが、それが10年後、どう自分のためになっているのだろうと考えた。人にとって本当の幸せとは人によってもちろん違うだろうが、MOBを辞めた今の私にとって、新しい幸せとは具体的になんだろうと考えるまもなく熱海に着く。

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青い海、僕が寛一君がお宮、熱海ビールなど。三島由紀夫も通ったハンバーガーで有名な純喫茶ボンネットや、太宰や文豪も泊まった起雲閣を見学。テンション的にはゆっくりしたかったので丁度良い按配である。

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~今、必要なもの~

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本州最大の楠木がパワースポットとして、3,4年前にスピリチュアルの江原さんが言い出したのきっかけにリニューアルした来宮神社。ここだけでなく、熱海は現在再開発のビッグウェーブが来ており、駅前にはゴールドクエストのタワーマンションが建設中であり、商店街の看板もクリエイティブを合わせたりと、代理店も大きく関わって再生中のようだ。

私がここで手に入れたのは「酒難除」のお守り。もっと早く手に入れておけばなと思う。

 

~連月荘~

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古き良き昭和丸出しの知る人ぞ知る旅館。今にも朽ち果ててしまいそうな佇まい通りの中身もすばらしいところ。私たちは離れに通された。トイレは外廊下のドンツキにあり、これぞ求めていた熱海であった。温泉ももちろんある。塩辛い味のする泉質で、漬かるとじっくりと染み渡るようなよい気持ちであった。床の間には「ミヤネ屋」のサイン。夕方には女将が庭から蚊取り線香を炊きにやってくる。この匂いは落ち着く。自分自身のノスタルジー機能が働いているのはもちろん承知だが。

夕食は地方局を見ながら海鮮の宴。魚ももちろんだが、なによりもこういった旅館は白米が本当に美味しい。

 

~夜、訪ねる者~

食事後に少しうたた寝をキめた後、なんとなくとんねるずなんかを見ながら過ごす。旅の疲れもあり12時には就寝。だがしかしここから何故か眠れなくなり、静岡ローカルの「しょんないTV」など観る。ピエール瀧はどこへいってもブレず面白い。こういった姿勢は自分にも求められるものなのだよなと思う。

一人、眠れず寝転がりながら暗闇に目を凝らし部屋を見回す。6畳2間をぶち抜きに使わせてもらっているので、12畳のど真ん中に布団を敷いてしまった。廊下側の障子の透かし彫りが蓮だったのがわかる。「ああ、ここは仏間だったんだな」と思う。私も今年で41。死に別れた人たちも増えてきた。みんな生きていたら、その後の人生はどんなものだったろうか。私は現在、幸いにも生きている。バンドの優先順位が一番だった20代から30代半ばまで。そこから自分の大事なものの順位が変わってきてしまい、今がある。今、大事だと思うものの為に、自分をどう高めていったらよいのだろう。

「ガタン」 あれ?

「うもーん」 あ、多分ネコがいるな。

妻のあやこちゃんは「おっさんが地下に幽閉されている」とつぶやいた。起きていたのか。確かにドスのきいた太い声だった。

様子を見に行く妻。「すげえデブネコが走っていっちゃった」とのこと。

 

夜は少し寒く、そのまま更けていく。